冬は本当に寒い。
夫の祖父母が暮らした小さなおうち。
義父が大きくなった場所。
夫たちが少年時代、夏中過ごした場所。
今では祖父母はあたたかで安らかな天国へ旅立ち、誰もいなくなったおうち。
ついにもうすぐ取り壊されるという。
私は2人と少ししか過ごせなかったけれど、やっぱり歴史あるものがなくなるのは哀しい。
昔から愛されそこにいたものたちは強く美しい。
どんな思いでこれを買ったのだろう。
そのときは若かったのかな。
アンティークと一言では言い表せない時を刻んだものたち。
思い切って、その中から食器棚とサイドボードを譲り受けることになった。
ずっと着物で暮らしたという祖母。
やっぱり選ぶものは素敵だ。
いろんなことを考えながら、ひたすら吹き上げた。
しばらく手付かずだったのに、新品のように綺麗になった。
光が降り注ぐ、斜天井の2階のリビング。
ずっとそこにあったかのように、そして私の心の隙間にも、ぴったり収まった。
娘の記憶の中には、2人はほとんどいない。
それでも何か感じるのだろうか。
優しくさすりながら、
「あじわいぶかいね」
夫の目にはどう映っただろうか。
これからはずっと我が家を見守り続ける。
大切に。大切に。
背筋を伸ばして暮らしていこう。